こんにちは!あいち相続ひろばの伊藤です!
今回は生前贈与についてお話していきたいと思います。
生前贈与とは、自分が生きている間に、配偶者や子ども、親族などに自分の財産を譲り渡すことをいいます。贈与できる財産に特別な制限はなく、現金や預貯金だけでなく、株式や不動産なども対象となります。
生前贈与は、年間110万円までであれば贈与税がかからないため、節税対策として活用されることが多い制度です。
なお、生前贈与は相続放棄とは異なり、裁判所での手続きは必要ありません。
相続放棄とは、被相続人が残した財産や借金などの相続を放棄する手続きです。生前贈与とは無関係に、家庭裁判所での申立てにより相続放棄をすることができます。
したがって、生前贈与を受けた後であっても、相続放棄の手続きは可能です。
次のようなケースで、生前贈与を受けた後に相続放棄を検討することがあります。
例えば、親が事業を営んでおり、事業が好調だったために生前贈与で1,000万円を受け取ったものの、その後、経済状況の悪化で多額の借金を抱えてしまった場合です。
親の死後、借金の返済義務を負わないために、相続放棄の選択が必要になる可能性があります。
被相続人に借金があることを知りながら、生前贈与を受け、その後に相続放棄をした場合、債権者から「詐害行為取消権」を行使される可能性があります。
詐害行為取消権とは、債務者が債権者を害する目的で行った贈与などを、債権者が裁判で取り消すことができる権利です(民法424条1項)。
相続放棄は、相続が発生したことを知った日から3カ月以内に、家庭裁判所に申立てを行う必要があります。この期限を過ぎると放棄できなくなるため、注意が必要です。
また、相続財産を一部でも処分すると単純承認とみなされ、放棄が認められなくなります。
贈与から一定期間内に贈与者が亡くなると、その贈与財産が相続税の課税対象となる場合があります。2024年以降、この期間は従来の3年から7年に延長されるため、注意が必要です。
相続放棄をすると、初めから相続人ではなかったとみなされるため、原則として遺留分侵害額請求を受けることはありません。
次の場合、遺留分侵害額請求を受ける可能性があります。
限定承認とは、相続で取得する財産の範囲内で借金を引き継ぐ制度です。相続人全員の同意が必要となりますが、借金がどれくらいあるかわからない場合に有効です。
生前に任意整理や自己破産などで債務を整理しておくことで、借金を引き継ぐリスクを回避できます。
Q. 生前贈与で財産を受け取った後に相続放棄しても問題ない? 詐害行為取消権が行使されるリスクがあるため注意が必要です。
Q. 相続放棄をした場合、生前贈与された不動産はどうなる? 生前贈与は相続とは別の手続きなので、不動産の所有権に影響はありません。
Q. 生前贈与を受けると相続放棄ができなくなる? 生前贈与は相続開始前の贈与のため、相続放棄を妨げるものではありません。
生前贈与は相続税対策として有効ですが、被相続人の状況が変化した際に相続放棄が必要になることもあります。詐害行為取消権などのリスクも踏まえ、判断に迷った際は、是非「あいち相続ひろば」へご相談くださいませ。
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