こんにちは、あいち相続ひろば 行政書士の森田哲也 です。
前回は「遺言執行者」の役割についてお伝えしました。今回は、「遺言執行者の資格と権利義務」について詳しくご説明いたします。
遺言執行者には、個人(自然人)だけでなく法人もなることができます。
✅ 法人(例:行政書士法人、司法書士法人、弁護士法人など)
✅ 成年被後見人・被保佐人(ただし、実際に職務を果たせない場合は解任される可能性あり)
✅ 相続人や受遺者(ただし、一部制限あり)
❌ 未成年者
❌ 破産者
相続人が遺言執行者になることも可能ですが、相続人から廃除された者は利益相反となるため不可とされています。受遺者については、自己契約や双方代理に該当しないため、問題なく選任できます。
また、遺言執行者は1人だけでなく複数人を選任することも可能です。その場合、原則として過半数の同意で執行を進めます。(ただし、財産の保存行為は各遺言執行者が単独で行うことができます。)
もし遺言執行者が必要なのに指定されていない場合は、家庭裁判所が遺言執行者を選任することになります。
遺言執行者に選任されると、以下のような法律上の義務が生じます。
1️⃣ 任務の開始義務
遺言執行者は、「就任を承諾した時点 で、直ちに 任務を開始」しなければなりません。
2️⃣ 通知義務
遺言執行者は、任務を開始したら「遅滞なく相続人に通知」する必要があります。
3️⃣ 財産目録の作成・交付義務
遺言執行者は、「相続財産の目録を作成し、相続人に交付」しなければなりません。
4️⃣ 善良な管理者の注意義務
業務遂行にあたり、「善良な管理者の注意義務」を負います。違反した場合、債務不履行として責任を追及される可能性があります。
5️⃣ 報告義務
相続人から要求があった場合、「いつでも遺言執行状況を報告」しなければなりません。
6️⃣ 受取物の引き渡し義務
遺言執行の過程で受領した金銭・権利などは、「相続人に引き渡しまたは移転」しなければなりません。
遺言執行者は「自分には任務が難しい」と感じた場合、遺言に反対の意思表示がない限り、第三者に任せること(復任)が可能 です。(※令和元年7月1日以降に作成された遺言の場合)
遺言執行者の選任が必要なケースもあれば、必要ではないものの選任することで円滑に手続きが進む場合 もあります。
特に、法的知識や実務経験が求められる場面 も多いため、相続人や親族に任せるか、専門家に依頼するか、慎重に判断することが大切です。
遺言書は、遺言者の「最後の意思表示」 です。
作成後に書き直すことは原則できませんので、遺言執行の実現可能性を考慮し、慎重に準備することが重要 です。
あいち相続ひろばでは、遺言書作成や遺言執行に関するご相談 を承っております。
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